いま読んでるもの:

Jean-Hugues OPPEL, Ambernave, Rivages, 1995
(ジャンーユグ・オペル『アンベルナーヴ』)


2冊目に読んでいるのがこれだが、前のオベールと比べると文体および語彙がもう大変。「普通に」フランス語を学んできた外国人にしてみたら非常に読みにくい。いわゆる俗語というやつだろう。以前セリーヌを読んだときも同じようにきつかったが、結構俗語辞典とかネットで調べたりとかすれば結構意味はわかったと思う(まあいい加減に読んでたから結構すっ飛ばしていた箇所も多いが)。いま四分の一ぐらい読んだが、印象としていえば、セリーヌよりも物語がはっきりしていてその意味では読みやすいのだが、俗語とかよくわからない箇所というか辞書にない表現とかあった。で、フランス人にきいていたりしたので、その点を少し。

こんな表現があった。

Alors, pas de chichis, tu vas me goûter ce nectar, avec ton cassoulet, ça va faire bocuse ! [p.50]

訳:ほれ、気を遣わんで、この神酒をやってみろ、カスレといっしょに、ポール・ボキューズみたいだろ!

ってな感じだろうか。翻訳って難しい。神酒って…。問題は最後のfaire bocuseって表現。もしかしたらレストランのポール・ボキューズと関係あるかなと思って一応ネットとかトレゾールとか探してみたけど相当する表現がなかった。それで近所のフランス人にきいてみたら、間髪入れずに(カンハツが変換されない!)「ああリヨンにもあるレストランだよ」といわれた。別にとんでもない表現というわけではないようだ。フランス人なら誰でもわかるか、ってきいたらどうやらわかるらしい。まあアグレガシオン一位の人に「すべてのフランス人」とかいわれても説得力はないが。ならトレゾールはすぐこの表現を登録すべきだ。


あと、パトロール中の警官がある場所で死体を発見する場面で、その警官がパトカーを降りて近くを歩き回るときにレミントン(Remington)をもっていくというシーンがあった。英語もそうかも知れないけど、フランス語でも、ある特定のものをさすのにそれを製造している有名なメーカーで指示するということがよくある。スコッチとか。ビックとか。だからこれもそのたぐいかなと思って調べてみた(ちょっと読み進めばなにを指しているのかすぐわかるのだが)。で、フランスのグーグルでレミントンを調べて一番上に上がっているのがカミソリだった。カミソリをもって死体を発見? 最初想像したのが日本のパトカーについている無線のマイクってカミソリみたいだなということだ。いやでもそれをもっていくのもおかしいだろ。ということでさらに調べるとまあピストルだな。これもフランス人にきいたら、さっきと違って即答ではなく、こっちが状況を説明して、さらに自分で先を読み進めて「まあピストルだろうな」と。「やっぱりフランス人もすぐにはわかんないよね」ってきくと「でも推理小説読んでいる人はすぐわかるだろ」だと。ううむ…。まあそういうわけでちょっとレミントンについて調べる。で、見つけたのがピストルの販売サイト。いきなりジェームス・ボンドモデル出来! とある。200ユーロでピストル変えちゃうのか。3万ぐらい? おいおい買えちゃうぞ…。ところでフランスでは誰でも拳銃所持できるのだろうか。で、同じサイトのこちらにはその所持に関する法律的なところが書いてある。いろいろ書いてあるが、少なくとも片手でもてる警官がもってそうなものは普通に買えるということだろうか。提出しなければいけない書類もないみたい。なんか40ユーロのものもあるのか? と思ったら空気銃みたいだ。コピー、ってモデルガンのことかな、もいっしょに売ってる。みんな一緒くたに売ってるのか? まあとにかくいろいろわからないことが多いなあという話でした。